Japan Now, Future
Japan Now, Future
We are here to love.
We love spontaneous
human hearts, and
mastery for service.
His ThoughtsMainichi Dailynews Nippon Now and Future
日本 現在 未来
Masajuro Shiokawa
Osaka Newspaper
中国訪問の報告
日中友好協会招待、中華人民共和国への旅

財務大臣、衆議院議員
自由民主党顧問 塩川正十郎
自由民主党 大阪府第13選挙区支部長
日本武道館会長
日本武道協議会会長
経歴: 衆議院議員 当選11回

元 自由民主党 総務会長
元 内閣官房長官
元 自治大臣
元 文部大臣
元 運輸大臣
元 東洋大学理事長


中国訪問の主旨(平成11年)

 私はこの度、中日友好協会の招待で5月4日から11日まで中国を訪問しました。
1996年春に自由民主党と中国共産党との公式交換会で私が自由民主党議員9名の
団長として訪問し、中国政府の要人(江沢民主席他外交部長や人民解放軍 熊列参謀
長等)と或はまた中国共産党中央委員会常務委員等と会談して率直な意見交換をいた
しました。その後3か年経過し、世界情勢やアジア経済が激動していますので、この
度中日友好協会 宋健会長の招聘で最近の国際問題や経済の改善等に関し意見の交換
をしようと訪中した次第です。 訪中団は衆議院議員佐藤信二、石川要三、浅野勝人、
水野賢一及び、前議員の水野清と私の6名でありました。

私にとりましては今回の訪中でもう二つの目的がありました。その一つは私が理事長
を勤めている東洋大学が、上海の復旦大学、対外貿易学院及び北京の人民大学と学術
交流として教授の交換派遣や留学生の受入れをしていますので、提携大学を表敬する
ことです。もう一つは5月1日に開幕しました雲南省昆明市での「花と園芸の万国博
覧会」に招待を受けておりましたのでその好意に応えてぜひ参観したいと思っていま
した。このように、多目的で旅行しましたので、スケジュールは厳しく、見学の予定
も削除しましたが、政府、党の要人との会談には十分な時間を持って意見交換ができ、
大きな成果があったと思っています。

 

要人との会談

1.全国人民代表常務委員会 李鵬委員長との会談

 この会談は天安門広場にある人民大会堂の四川の間で行われ、5月4日午後4時
 30分から18時まで十分な時間をかけて行いました。冒頭で李鵬委員長は歓迎
 の挨拶に引き続き世界経済の不況脱却のために、米国、日本の責任の重大さ、且
 つ国際協力の必要性を主張されました。

 「特に米国は中国のWTO加盟にもっと積極的に理解と協力をすべきである。し
 かるにこの加盟について経済的条件以外の人権問題や領土に関する国際的懸案を
 ひき込んでいるのはWTOに対する純粋な判断ではないと思う。経済以外の政治
 的問題を過大に扱い過ぎている。日本は中国のWTO加盟に協力してほしい。日
 米安保条約に基づくガイドラインが近く国会で承認し法として成立することにな
 っているが、この問題に対して中国は非常に重大な関心を持っている。特に「周
 辺事態」の対応で周辺とは何処か明確でないことに大きい疑問を持っている。北
 朝鮮と日本との関係には中国も重大な関心を持ち、平和関係が維持されるよう協
 力する。KEDO、食糧問題などは当事者間で友好的に解決されることを期待し
 ている。」と表現されました。
 
 これらの意見に対し、我々は中国のWTO加盟については賛成で、早く加盟すべ
 きであるが、その為には中国も経済環境をWTOの水準に見合うよう、特に労働
 関係や知的所得権問題について速やかに改善してほしい。アジアの経済回復につ
 いては先日、宮沢構想として300億ドルの対アジア支援融資を実行したが、更
 に追加措置をして不況脱却に協力する。ガイドラインの問題については、最近わ
 が国では北朝鮮のテポドン発射や領海侵入等があって、急激に国防意識が高揚し
 ています。以前のような何もしない平和主義ではなく自主防衛は自分の責任だと
 意識してガイドラインを推進するようになった。従って、専ら日本海の事態から
 起こっているとみていただきたい。このように、ガイドラインの周辺自体につい
 て我々は対北朝鮮関係を再重要視しているので「周辺」に騒動と緊張が発生しな
 いよう各国の協力、特に関係国間の率直な事前協議を望んでいると、表明いたし
 ました。

 また、経済問題に関連して中国の新幹線建設に、是非日本企業の活用を考えてほ
 しいと申し入れました。これに対し李鵬委員長は「新幹線事業は国家の大事業で
 絶対に成功させる。日本の新幹線建設協力について資金技術両面で他国に比べて
 十分資格が在る」と応答がありました。

 私は大阪出身で2008年のオリンピックに大阪市は3年前から名乗りしており、
 中国の御協力をお願いしたいと李鵬委員長にずばりと申し出ました。これに対し
 委員長は「2008年オリンピックはアジアで開催決定することには変更はない。
 したがって大阪が努力されていることは承知しているが、アジアでの開催を成功
 させる為にどう協力するかは互いに検討努力しましょう」と応えられた。一寸物
 足りなかったが、大阪を強く意識していることは疑問の余地がないと感じました。

 

2.唐家施外交部長の会食

 外交部長との昼食会は、最近新築された外交部ビル(20階建て大ビルディング)
 の19階にある豪華なレセプションルームで中国料理の接待を受けました。唐外
 交部長は在日大使の勤務が長かったので日本語が堪能で、通訳なしで冗談も交え
 ての会談でした。
 
 外交部長からの最初の発言はガイドライン問題で、李鵬委員長の意見、要望と全
 く一致しているのですが、特に指摘した点は日米共同の早期査察監視体制及び、
 T.M.Dミサイルの開発についてであります。これに対し我々は、何事も軍事
 力優先で外交交渉しようとする国家がある以上物騒でならないので、国民は従来
 の甘い平和主義から目覚めて自衛について強い意見が出ている。ガイドライン問
 題も共産党を除く野党の対応は単純な反対論ではなく、従来の安保論戦とは相当
 異なる意見が出されている。日本人は周辺に危機感を持たせるような冒険はしな
 いし、日米共同防衛にも節度ある対応をしていると答えました。

 我々からの提案として中国の社会基盤整備、いわゆるインフラ整備にもっと日本
 の資金と技術を利用すべきであると申し入れました。これに対し外交部長はイン
 フラ整備だけでなく経済全般について日本との関係が中国にとって最も重要で、
 特に中小企業の進出と中日合併企業の協力を強く要望しておられました。

 また、唐外交部長から石原東京都知事の発言について強い非難が出されました。
 その第一は支那という呼び名。シナは中国が100年前に列強諸国から植民地争
 奪の国家として蔑視されていた当時の呼び名であって、この発言は中国を侮辱し
 ているものと受け取る。更に石原知事は中国を覇権国家としている。中国は平和
 国家であり国際協調を国是している。この2点の訂正と反省を示してほしいと強
 烈な抗議。これに対し、石原発言は全く個人の問題で国として、又自民党として
 対応することができないが、東京都と北京市は姉妹提携をしているので北京市長
 から正式に東京都知事に対して抗議をし、場合によっては姉妹提携解約まで申し
 出てもよいのではないかと我々の立場を明確にしておきました。

 

3.中日友好協会 宋健会長との夕食会

 この夕食会は日中両国の友好協会の親睦を深めるための会食でありますが、中国
 側の厚い配慮で釣魚台迎賓館会場で招待を受けました。出席者も中国側は宋健会
 長、陳永昌副会長他5名の副会長及び、中国共産党の幹部6名など多数の幹部出
 席で各人が活発な発言をして大いに盛り上がり、3時間を越す盛会でした。
 
 話題は李委員長、唐部長との会談内容とほぼ同様の内容でありましたが、更に最
 近の中国からの密入国問題や在日中国人の労働問題、犯罪問題なども話題にとり
 上げ、深刻な事態の認識必要を訴えました。日中間の議論は殆ど安全保障と経済
 問題、及び中国からは戦争責任と侵略に対する謝罪等と肩の張った公式議論があ
 り内容も定型化されつつあるが、今後はもっと青少年の交流、例えばスポーツ、
 芸術、映画など文化での交流を深めては如何かと提案しました。

 

上海の印象

 私は10年ぶりで上海を訪れました。先ず招待されたのは上海市庁舎一号館貴賓
 室で、天井の高い殿堂。漆世貴上海市人民代表委員会常務委員会副主任と約一時
 間会談、その後同庁舎内レセプションホールで昼食の接待を受けました。上海の
 変貌に吃驚仰天、浦島太郎の上海帰りでしょう。昔からの黄浦地区、キャセイ航
 空本社や上海香港銀行のある旧植民地区の上海は懐しい思い出の場所ですが、そ
 の路地裏の過密住宅は徐々に逐放され再開発されています。それ以上に目を見張
 るのは浦東地区即ち黄浦江の東部対岸地区で旧上海の対岸ですが、この地区の開
 発はニューヨークのマンハッタン地区以上の壮観です。その中でも圧巻は高さ
 430mの世界一のテレビアンテナ塔です。最高速度秒速9mという超スピード

 エレベーターで240mの展望台に上ってきました。上から見ると上海は超近代
 の富貴と旧世代の貧困がとなり合わせで同居しており何とも不可思議で、この調
 子で上海の開発が推進されるともう10年で上海は「中国の上海」ではなくなる
 でしょう。北京の発展も素晴らしいものでスピーディーに進められていますが、
 上海は異常といえるでしょう。夜、上海総領事の市橋さんから聞いたのですが、
 上海では貧富の差が拡大し、それが為に治安が非常に悪くなっているとのことで
 あります。

 

提携大学訪問

 5月5日、14時30分から16時30分まで北京市の人民大学を表敬訪問。中
 国の大学は殆どが国立で、若干省立、州立の大学もありますが、総数約1000
 大学で私立大学はごく少数です。人民大学は1930年代に毛沢東首席の発言で
 創立された大学で、党幹部養成の使命であったのが最近は広く一般教養の普及啓
 発を目的とする総合大学に変革しつつ在ります。国立大学には理事会に相当する
 校務委員会が在り、その主任が理事長となり経営の全責任を負っています。主任
 の下に学長が在り、学部長相当に副学長が任命されています。私は馬紹孟校務委
 員会主任及び表衛学長等約10名の幹部と懇談しました。

 共産党政権下の大学でありますから私達の予想もできない組織と活動になってい
 ます。人民大学の在学生総数は大学院も含めて約1万名でi職員が約4千名、そ
 のうち教授等は5百名で他は大学関係者の食糧生産や食堂運営、大学の清掃、営
 繕及び出版など、大学の外側にあって社会的生活的用務に関係する職員でありま
 す。従って大学の改革、活性化といっても体制の改革をしない限り合理的な学術
 発展の計画が立てられないと思われます。

 5月7日に訪問しました上海復旦大学、対外貿易学院等も組織的には同様であり
 ます。復旦大学では副学長(学長代行)の方先生から、東洋大学とインターネッ
 トを通じてのエレクトロニクス関係の学習交流を具体化したいので教授を派遣し
 てほしいとの要望がありました。

 上海対外貿易学院は、中国で唯一アメリカ流のビジネス大学に変身しており、さ
 すがは上海の大学だと思いました。学長の王新奎先生や載暁芙教授等は資本主義
 の経営学をマスターして世界各国の経済セミナーやシンポジウムに参加していま
 す。上海はやはり中国の中でもっとも国際化の進んでいるところだと感銘しまし
 た。

 

昆明市の「花と園芸の万国博覧会」

 私がかねてから中国の中で一番興味を持っているのは西安市です。秦の始皇帝が
 天下統一し中央政府をつくり、都を建設し、中国の政治の始祖となりその後、唐
 の時代には佛教や儒教等中国文化の発祥となった所で文化的に関心深く勉強をし
 ています。その次は昆明市でここは一度是非訪問したいと熱望していました。そ
 れが今回花と園芸の万国博覧会」に招待を受け喜んで旅行してきました。私がな
 ぜ昆明に関心を持っているかというと、先ず第一に、過去の大東亜戦争で、昭和
 15年ごろから重慶軍(蒋介石の国民党軍)が物資、武器不足で困窮していまし
 た時に米国のルーズベルト大統領がビルマからチベットの辺境を回って雲南省の
 昆明市への道路を開発し、これを援蒋ルートとして中国に兵器弾薬の補給をしま
 した。このルート開設で中国軍は戦況を優勢にし、わが日本軍は南支中支方面で
 非常な苦戦を強いられたのであります。私は北支派遣軍に服役していましたので
 ビルマ−昆明の援蒋ルートは強く印象づけられています。

 第二の興味は、中国各都市の中で東南アジアと最も地理的文化的に関係の深いの
 は昆明市であって、香港とはビジネスの絆がありましょうが、北京や上海と東南
 アジア間では政治経済の大きい枠組みでの関係はあっても親身なフレンドシップ
 関係がありません。ミャンマー、ベトナム、タイ、マレーシア諸国が中国の中で
 最も親近感を持っているのは昆明です。従ってアセアン諸国の発展と昆明の発展
 は強い相関関係を持っていると思っております。

 昆明を初めて訪問して驚いたのは、山岳の地方都市(海抜2000m)で街路が
 明るくモダンであることです。花と緑の田園都市というイメージとは違ってよく
 整備された近代都市ということを知ったことであります。万博が開催されるから
 街を美化整備したのでしょうか、非常に美しい街になっています。雲南省は世界
 でも珍しい花、綺麗な花の種類が最も多い所であり、動物も珍しいもの、生存の
 貴重なものが多いので、従って産業として特筆すべきものはありませんが観光資
 源として利用されるものが数多くあり、歴史的に見ても貴重な文化遺産が多々あ
 ります。エベレスト山を始めチベット、ネパール等世界の屋根は2億7千万年前
 に隆起してきた山岳地帯だそうであります。その後永年の風雨の侵蝕を経て石林
 のような奇岩景勝の地形ができたのだと説明を聞きました。

 万国博会場は65ヘクタールという広大な敷地内に展開されており、各国各機関
 のパビリオン等多数建設されて壮観であります。私が一寸疑問に思ったのは、広
 大な庭園で色彩豊かな美花が一面にアブストラクトの絵画調に庭園化されている
 のですが、その花は全てハイブリッド所謂F1の種子であったということです。
 博覧会終了後、庭園を花園として維持することがないので一過性のハイブリッド
 にしたのだろうと思います。維持費が高くつくのでこのような対策であるのだと
 思うのですが、一寸勿体無い感じを持ちました。万博の会場は一巡するだけで三、
 四日は十分にかかるほど広大で、充実したスケールの大きいもので正に躍進中国
 を表徴しているイベントだと賛辞を捧げたいと思います
                              以上